AIRJAM 2026 LIVE REPORT
KUZIRA 今現在のAIR JAMを紡ぎ、育てていく重要な存在
先ほどホルモンが“A・RA・SHI”をやったから、ではないと思うが、こちらも恒例のKUZIRAのスタッフ・いとしんさんによる“チャンカパーナ”のカバーでサウンドチェックをスタート。大先輩が揃う中でもいつものフォームを崩さないのが彼ららしい。
今回のAIR JAM出演者の中ではダントツで若い彼ら。それでも、登場からその佇まいは3人とも堂々としたもの。陽が落ちてスタジアムの景色も様変わりして、日中は帽子を被らないと汗をかくほどだったのが、予報通り空気が冷え込み出した。そんな中、1曲目に披露したのは“And Dance Going Nowhere”。一番最初に現在進行形で輝いているKUZIRA流のパンクを見せつけて、空気を一気に温めたのは見事である。

日常的にライヴハウスに行き、今のカッコいい音楽に触れているリスナーであれば、KUZIRAがHi-STANDARDやPIZZA OF DEATHが作り上げた音楽の系譜を受け継いでいるのはわかると思うが、若い頃にライヴハウスに通っていて、久しぶりにHi-STANDARDやHUSKING BEEを見にきた観客にはまだ届いていなかったかもしれない。ただ今日のライヴで、“In The Deep”のドカドカと臨場感のあるドラムに呼応する演奏と末武のボーカルや、“Clown”の心地よいビートで完全に食らったのではないだろうか。それくらい空間を掌握していた。

「横山健と作った曲です」というMCから“21 Buck”が披露されたり、“So Far So Good”の冒頭にHUSKING BEEの“Walk”の一節を入れたり(そうか、この曲はここからインスパイアされていたのかも、と勝手に腑に落ちた)、AIR JAMに出られることの喜びを、姿勢と感情の両面で伝えていくKUZIRAのライヴ。
「俺たち今後、こんなキャパでやることあるのかな?」と少し笑いながら言っていたが、すぐに「Hi-STANDARDがMAKING THE ROADしてくれたから自分たちが歩けている」と語るリスペクトも忘れない。「岐阜県から来ました、PIZZA OF DEATHのKUZIRAです」という自己紹介をいつも以上にしっかりとしていたように感じた。下の世代は上の世代を食ってやるくらいの覚悟じゃないと、対等に勝負できない、というのはそうなんだと思うけど、KUZIRAみたいに上の世代の素晴らしい表現や楽曲を下の世代に伝えていく役目をになっているのは非常に好感が持てるし、MCでもあわせて言っていたけど「同じ道を歩いていても仕方ない」という想いを同時に持っているのも頼もしい。

今の季節と時間にピッタリだった“A Sign of Autumn”を披露し、末武はギアを入れ直すようにMCで「パンクはキッズのための音楽だ」と言い切った。そして、「教室の隅で音楽を聴いているやつ、周りと音楽の話できないやつ、家に引きこもってギターばかり弾いてるやつ、それでいい。そういう青春でいいんだぜ、それでもAIR JAMに立てることを今俺が体現している」と言ってくれた。その言葉は、会場にいたキッズ以外にも確実に届いただろう。全く大言壮語ではない、地に足のついた、説得力のある言葉だったからだ。そして「バンドやろうぜ」と声をかけることを忘れないのもニクい。
ここからラストまで“Backward”、“Snatch Away”、“Spin”、そして“Box”と畳み掛けるように初期曲を連打。オーディエンスもこの前のMCに応えるように、キッズもキッズじゃない人も関係なくダイブやモッシュを繰り出す。特に“Spin”では「この曲をこの場でやりたかった」と語っていただけある、めちゃくちゃ力強いボーカルと演奏で、彼らがこの曲に込めた想いの強さを感じさせた。

AIR JAM初回から出ているレジェンドと、今リアルで放課後にライヴハウスへ駆けつけているようなキッズ、この双方が、想いと実力でねじ伏せるようなKUZIRAのライヴにより、上手く混ざり合った気がして(モッシュにも、色々な世代が混ざり合っていた)AIR JAMの新しい楽しみ方が今日この日この場で生まれたのを目撃したような気持ちになるライヴだった。

SET LIST(JAM STAGE)
01. And Dance Going Nowhere
02. In The Deep
03. Clowns
04. 21 Buck
05. So Far So Good
06. A Sign of Autumn
07. Backward
08. Snatch Away
09. Spin
10. Box
TEXT: 佐久間トーボ
PHOTO: 西槇 太一