AIRJAM 2026 LIVE REPORT
ザ・クロマニヨンズ――転がる命のサウンドトラック、AIR JAMを蒼く燃え上がらせる!
「世代を超えたカルチャーの繋がり」を謳う本年のAIR JAMにおいて、「Hi-STANDARD以降」ではなく「先達からHi-STANDARDに至るもの」を伝えるハイライトのひとつである。特に横山健が影響を公言しているのがTHE BLUE HEARTSであり、その魂をさらに燃やして猛進し続けているのがザ・クロマニヨンズである。パンクロックの祭典として語られることが多いAIR JAMだが、Hi-STANDARDがキャリアを重ねるにつれ、Hi-STANDARD以降の世代のバンドが増えていった。ゆえに、こうして先達のバンドを招くことは単純に貴重であり、もっと言えば、これからのシーンを作っていくバンドへバトンを渡すことはもちろん、それと同時にロックそのもののドラマツルギーをより克明に描き出すことを重要視するようになったのだろう。パンクの世代観と歴史に対する視座は、これまでのAIR JAMと比べても圧倒的に広い。パンクをはじめとしたロックバンドのドラマが真っ直ぐに伝わってくるタイムテーブルである。

「ウホッ」「オワーッ」という声が入り乱れる、原始人の宴のようなSE。感情がそのまま叫びになり、さらに叫びに合わせてビートがボコボコと鳴り、それに乗って、小林勝(Ba)と桐田勝治(Dr)が颯爽と登壇。さらに真島昌利(Gt)が続き、ドラムのフィルが入った瞬間、甲本ヒロト(Vo)が絶叫しながらオンステージし、「オーライ、ロックンロール!」の掛け声一発、オープニングナンバーの“タリホー”がスタートした。歌が太く伸び、超ソリッドなビートがビシビシと刺さり、ギターもベースも歌いまくっている。早速巻き起こった<わいタリホー さめタリホー>のシンガロングも超巨大だが、それ以上に演奏が歌ってるというか、一つひとつの楽器が生き物みたいにうねり、バンド自体が生命体として躍動しまくっている。アグレッシヴでソリッドなロックンロールなのに、そのアンサンブルの奥に浮かび上がってくるのは徹底的にカラフルで豊かな風景だ。甲本が繰り返し「ロックンロール!」と叫んでいる通り、ひたすらロックに命をベットしてきたバンドだ。その歴史がそのまま熟練の演奏になっているのはそうなのだが、いつまで経っても、その音自体はフレッシュで無垢で瑞々しい。そこにザ・クロマニヨンズの強烈な凄みがある。

「パンクロックが好きだー!!」という甲本の絶叫に続いてプレイされた“キャブレターにひとしずく”では、歌とブルースハープを織り交ぜて甲本が舞うように歌い、“グルグル”では、いつまで経っても同じことを繰り返しているだけの人間社会を、愛嬌ある<グルグル>のリフレインで表す。しかし<愛というものがあったらしい><美しいものだったらしい>というラインは、未来を想う気持ちが現在ヘの警鐘になっている、痛烈な風刺でもある。あまりにピュアな歌だからこそ、そこには逃げも隠れもできない現実がパンパンに詰まっている。

「今日は、来てくれてありがとう! パンクロックのお祭りに出られて嬉しい。僕らは、1970年代型のパンクロックに魅せられた世代です。なので今日は、2026年の最新型パンクロックに混ざれて気持ちがいいです!」
短いMCだったが、これぞ「AIR JAM 2026」が表現したかったカルチャーのストーリーだろう。“イノチノマーチ”にしても、「“生きる”行きます!」のひと声からワン・ツー!でガーンと入った“生きる”にしても、前に向かって生きれば生きるほど、歩んできた道が誰かの人生に繋がっていくというメッセージが詰まっている気がしてならない。人の命の歴史を繋ぎ、讃えるロマン。ザ・クロマニヨンズの歌が心に刺さって涙が止まらなくなるのは、たったそれだけを真っ直ぐに伝えているからなのだと思う。

“ギリギリガガンガン”では、「今日は最高―――!!」と叫びながら甲本がステージ上でもんどり打つ。“ナンバーワン野郎!”では、<やる事はわかってる/立ち上がる 立ち上がる>という歌で、転げ回って生きる人生そのものを天高く打ち上げて見せる。“クロマニヨン・ストンプ”でリフレインされる<人間 人間>という至極シンプルな歌は、転がり続ける命そのもののことなのだと、改めて感じるライヴだった。



TEXT: 矢島 大地
PHOTO: 柴田 恵理