SPECIAL

AIR JAM 2026 スペシャル対談

難波章浩 × Tokyo Tanaka
AIR JAM、音楽とカルチャー、人生、そしてシーンの未来について語る

Interview: Toshiya Ohno

Hi-STANDARDの難波章浩とMAN WITH A MISSIONのTokyo Tanaka。
その接点は、1997年に開催されたAIR JAMに遡る。
南極の氷河の中で凍結されていたTokyo Tanakaたちは、発達した聴覚で世界中の音楽を聴いていた。そして、AIR JAMで鳴り響く音を耳にしたことをきっかけに、音楽で世界を変えられないかと考え、音楽活動を志すようになる。彼らは、たった一つの使命を果たすために、この世界に出現した生命体なのだ。
2010年、地球温暖化の影響で氷が融けたことで永年の眠りから目覚め、バンドとしての活動を開始したMAN WITH A MISSION。以来、独自の存在感を放ちながら世界へと活動の場を広げてきた彼らにとって、AIR JAMとは何なのか。そして、音楽を通じて次の世代へと何を伝えていくのか。
AIR JAM 2026を前に、難波章浩とTokyo Tanakaの二人に、AIR JAMと人生について語り合ってもらった。
※Tokyo Tanakaの発言は翻訳した上で掲載しております。

AIR JAMとMAN WITH A MISSION

―Tokyo Tanakaは凍結中に、ハイスタやAIR JAMに触れたことが、今の音楽活動につながっているんですよね。

Tokyo Tanakaそれこそ、2000年のAIR JAMの時、氷の中でカミカゼが「AIR JAM、行きたいです」って言ってきたんですよ。その時、AIR JAM2000のハイスタを氷の中で一緒に聴いてて。「あっち側に行くにはどうしたらいいんだろう」って思ったのが、MAN WITH A MISSIONがバンドとして始めるきっかけになったんです。

難波章浩「1997」という曲は、タナカくん一人の話じゃないの?

Tokyo Tanakaあれはカミカゼなんですよ。カミカゼのAIR JAMへの思いがスゴくて。僕は’98年に、「あ、こういうシーンがあるんだ」っていうのを知って。でも、僕が一番最初にハイスタに触れたのは、グリーン・デイの前座の時です。

難波章浩氷の中から聴いてくれてたんだ?

Tokyo Tanaka洋楽をずっと好きで、グリーン・デイが来るぞっていうので聴いてたら、出てきたのがハイスタだったんです。「グリーン・デイじゃなくてごめんね」みたいなMCを言ってたので、ストンってなって。僕がAIR JAMというカルチャーに触れたのは’98年からで、ちゃんとハイスタを聴いたのは’96年のグリーン・デイです。その時の衝撃は今でも覚えています。

難波章浩その辺の話をもっと聞きたいな。氷の中で眠りながら体験してたと思うけど。スケートボードも好きなんでしょ。

Tokyo Tanakaスケートボードは当時かなりブームで、スケーターもたくさんいましたよね。ちょうどChocolateとか、コリン・マッケイとか、ニュースクールが出始めた頃なんですよ。僕はスノーボードも大好きで、スノーボードのビデオには、それこそNOFX、バッド・レリジョン、オフスプリング、ペニーワイズが入ってたんです。

難波章浩そうだ、みんなスノーボーダーになった時代だから。

Tokyo Tanakaクラブミュージックよりも、自然とメロコア、パンク周りのカルチャーが好きになって。それが僕の入り口になりました。

難波章浩当時はハイスタのことも、スケートボード、スノーボードのビデオで知ったっていう人が、めちゃくちゃ多かったから。

―前に、エピタフ・レコードのブレット・ガーヴィッツに聞いた話があって。ボードスポーツのビデオにエピタフのバンドの曲が多かったのは、プロモーション戦略だったって話してましたね。

エピタフでのMAN WITH A MISSION
「エピタフでの写真」

Tokyo Tanakaエピタフの話でいうと、僕らは氷から飛び出して音楽活動を始めた最初の年に行ったアメリカ西海岸ツアーでLAのシルバーレイクにあるエピタフ本社に行って、いきなりこの風体でピンポンしたんですよ。そしたら社長のブレットがいて。「お、いいよ。そのままで入ってくるんだったら、入れてやるぜ」って入れてくれて。事務所内で写真を撮らせてもらいましたね(笑)。

難波章浩「MAN WITH A MISSION」は、バッド・レリジョンの曲名だからね。

Tokyo Tanakaそして4年後には、バッド・レリジョンと日本のフェスで共演できましたね。ただ、ブレッドはもうギターじゃなかったですが(笑)。

―そう言えば、AIR JAMで一度、スケボーのランプをなしにしようかみたいな話が出たことがあって。タナカくんから、スケボーは絶対にやってほしいって言われて、一回なくなりかけてたのが復活したこともあったんですよ。

難波章浩言ってくれたんだ?!

Tokyo Tanaka「これがなかったらダメじゃないですか」って言って。設置してもらえるように、設営業者にも値引き交渉とかもした記憶があります(笑)。

難波章浩マジで? 熱いなあ。

「1997」とAIR JAM 2026

―今回、MAN WITH A MISSIONをAIR JAM 2026に誘った話も聞きたいですね。

Tokyo Tanaka今回、難波さんから話をもらった時、他のライヴをどうするのかという話が上がると思ってたら、カミカゼを筆頭にメンバー全員「出たいです!」って言ったんですよ。

難波章浩沖縄と重なってたんですよ。でも、何とかしますって言って、調整してくれたんです。

Tokyo Tanaka沖縄の仲間のイベントには、翌日の朝の便で行きます(笑)。

AIR JAM 2016でのMAN WITH A MISSION
「AIR JAM 2016でのMAN WITH A MISSION」

難波章浩「1997」は、ハイスタが立ってるステージ側に、どうやって行けばいいのか、そういうことを歌ってるんだよね。AIR JAM 2000の時の会場はマリンスタジアムだったんですよ。でも、マンウィズが出演してくれたAIR JAM 2016の会場は、福岡ヤフオク!ドームだった。だから今回のAIR JAMは、マンウィズにとっては初のマリンスタジアムなんですよ。僕としては、今回は絶対にマリンスタジアムに誘いたいなと思ってて。

Tokyo Tanaka僕やカミカゼにとってマリンスタジアムでのAIR JAMは特別なのもあって、あのステージに立てることにめちゃくちゃテンションが上がりました(笑)。

難波章浩「1997」からいろいろ夢を叶えてきた今は、どんな気持ちなの?

Tokyo Tanakaハイスタとかあの時代の発信に影響を受けた人の貪欲さって、「なろう、なろう」っていうアナログ的なパワーだったと思うんです。僕らが今伝えてる世代が、受け取ったものを「やろう、やろう」ってなるのとは、少し違う印象があって。やっぱりネットの情報だけでは伝わってる濃さが全然違うんじゃないかなって思うんですよ。アナログで受けた衝撃と、便利なツールから手軽に得られた衝撃って、濃度が違うんだろうなというのはスゴく感じているところなので。だからこそ、僕らはリアルなライヴをできるだけやっていきたいと思っています。デジタルとアナログの答え合わせ的な。

難波章浩ライヴ、かなりやってるもんね。

Tokyo Tanakaやっぱりライヴで衝撃を受けてもらわないと。SNSとかで曲を出してやってる感よりも、ライヴで直接届けることのリアルな現場が好きなので(笑)。ただ、ずぅ~っと走り続けてはいますが、まだ達成感とかは全然ないですね。

難波章浩達成感はないの?

Tokyo Tanaka何かやっぱり、中間管理職から脱皮できてない感がスゴくしてて(笑)。これは最近よく話すんですけど。たぶん他の同世代バンドも、同じ感覚を持ってると思うんですよ。

難波章浩トップじゃないの?

Tokyo Tanakaいやいやいや。僕ら界隈の中で、ライブハウスの空気感を持ったまま、オールラウンドでやれてるバンドがなかなか出て来ないよねっていうのが、感覚的にスゴくあって。シーンをバトンタッチできるバンドがちゃんと出てくるまでに僕らがペースを落としてしまったら、シーン全体の分母がまた減っていっちゃうじゃないかという危機感も、お節介ながらあったりもします。

難波章浩なるほどね。

Tokyo Tanaka先輩たちがこれまでやってきたことを、僕らは上手くオマージュというか、今の時代にアジャストした形で自分達なりの「カッコイイ」を継承しているという自負はあるんですけど。

人生と達成感

難波章浩タナカくんは、今のところ人生は楽しいですか?

Tokyo Tanaka今は、こういうカルチャーとかバンド業界というものが、もう少し次につながるところをちゃんとやらないといけないと思ってて。だから、楽しい云々っていうよりは、まだ途中なんですよね。

難波章浩そうなの?

MAN WITH A MISSION ライヴ写真
「海外でのMAN WITH A MISSION」

Tokyo Tanaka自分たちにはまだやれることがある、イコール、まだ達成感ではないなという感じはしてて。本当に海外でメインステージに行けるようになったり。あとは、ちゃんと中間管理職を卒業できるぐらい、日本の若いバンドマンたちが成熟してくれて、「うちらがいてもいなくても、このシーンは変わらないよね」という状況になってくれたり。そうなってくれたら、スゴくいいなとは思ってますけど。彼らからしたら退いてくれないと、そこに行けないですよって感覚もあるかもですが(笑)。

難波章浩タナカくんはずっとシーンを見てるんだね。

Tokyo Tanaka結局、自分たちで作ったという価値観よりは、そこで頑張れる場所があったから、頑張れたので。2000年代以降の時代っていうのは、ゼロイチではないカルチャーじゃないですか。

―マンウィズはその後に盛り上げていったから、これを絶やしたくないみたいな気持ちもあるんでしょうね。

Tokyo Tanakaやっぱりそこになりますね。

難波章浩スゴい大事な人じゃないですか。こういう話は誰からも聞いたことがないですよ。

Tokyo Tanakaやっぱりその意識を持ってやってるし。その意識があるから、うちのメンバーたちも曲を作ってるだろうし。みんなが各々の立ち位置の中でやってる中で、僕のやりたいこととか想いというものも、感じてくれていると思うので。「僕らは中間管理職」って言ってますけど、今ここからのフェーズでいうと、僕らが入らせてもらったこの場所を、次は誰が守るんですか?みたいなところが大きいんですよ。

難波章浩そこを「入らせてもらった」っていう目線を持ってる人ってあまりいないですよね。初めてだと思う。

―そこって、アメリカ人あたりがスゴく大切にしてるところかもしれないですね。それで、ずっと歴史と流れがあるっていう風に見せられるわけだから。

難波章浩歳を取っても出れる場所があるもんね。若者もみんなリスペクトしてるし、みんなが仲良いから。ターンスタイルとペニーワイズがやったりさ。ああいうのをやりたいの、AIR JAMでは。もう一回、ハイスタがそこを頑張って、若者にもリスペクトされる状態にならないと。そういうところに、今回のAIR JAMのテーマはあるから。やっぱりマンウィズを誘って良かったな。

―最後に、AIR JAM 2026に向けて、何かあれば聞かせてください。

Tokyo Tanaka言葉がいっぱいありすぎるので、端的に言うと、これがAIR JAMでのマンウィズの集大成だと思って暴れるつもりです。僕らにとっては、AIR JAMがスタートなので。

難波章浩しかと受け止めたいと思います。めっちゃ楽しみです。ありがとうございます!

難波章浩、Tokyo Tanaka

難波章浩

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