AIRJAM OFFICIAL SPECIAL INTERVIEW
難波章浩 × ヒカル
Hi-STANDARDとAIR JAMをめぐる、初めての対談
後編
Interview: Toshiya Ohno
Hi-STANDARDの難波章浩と、BOUNTY HUNTERのヒカル。
後編では、二人のこれまでの関わりを振り返りながら、話はHi-STANDARDとAIR JAMへ。音楽を取り巻く環境が変わり、それぞれの活動も変化していく中で、今のHi-STANDARDを二人はどう見ているのか。
過去からつながる現在の活動まで。30年以上にわたって音楽とカルチャーの現場をともにしてきた二人が、Hi-STANDARDとAIR JAMについて語り合う。
ヒカルが東京に戻ることになったきっかけ
ヒカルあと、またちょっと話が戻るけど、俺が東京に戻ることになったきっかけもあってさ。俺ってほら、事故って佐世保に帰ってたじゃん。気持ちも足もぐしゃぐしゃだったから、俺、このままもう佐世保にいるのかなって思って。そしたら、なんちゃんから電話があって。「岩永光って、ヒカルくんなんでしょうか」って。「Seaweedのライナーノーツがスゴい良かったから」って。
難波章浩ライナーは「岩永光」で出してたんですよ。
ヒカルソニーに聞いたら、「岩永光」と「ヒカル」がつながったっていう電話がかかってきて。「ハイスタのライナーを書いて」って言うから、「書く、書く」って言って。で、バーって書いてるうちに、もう一回東京に戻ろうかなと思ったんだよね。
難波章浩とにかくヒカルくんが事故っちゃったっていうのも衝撃で。それで、戻ってくると思ってたら、帰らないかもって聞いて。そりゃないでしょと思って。ここから一緒に行きたいと思ってたから。当時って、ライナーで聴くっていうのがけっこうあったんですよ。大貫さんも書いてたし、大野さんもよくやってたじゃないですか。ヒカルくんのSeaweedのライナーがスゴい良かったんですよ。ヒカルくんの純粋なメッセージがスゴい良かったんで、僕らもじゃあヒカルくんにお願いしようかってなって。それで連絡したんですよね。

ヒカルそれで書いてるうちに、やっぱり音楽ってスゴいなと思ってさ。それでもう一回戻って、音楽を広めることがしたいなと思って。それで帰ってきて。東京に家がないから、盾(高橋盾)の家に転がり込んでる時に、ハイスタのライヴがあって。俺も観に行って。「ヒカルくん、お帰り」とか言われて……。その話をすると、今でも泣きそうになる。マジであれはうれしかった。
難波章浩じゃあ、本当に一回、東京を離れて、完全にやめちゃおうってなったんですか?
ヒカル本当にぐしゃぐしゃだったから。気持ちがさ、人の前に出れないっていうか。人がいっぱいいると何かドキドキしちゃって。ずっと落ち込んでた。でも、その気持ちを前向きにしてくれたのはね、やっぱりパンクだったし。
難波章浩あの時、お花を送ったんですよ。
ヒカルその花、まだあるよ。
難波章浩えー!
ヒカルお母さんがまだ育ててるんだよ。
難波章浩ちょっと鳥肌。マジですか。
ヒカルまだあるんだよ。スゴくない?
難波章浩あれは健くんと一緒に選んだのかな。
ヒカル「これ、ハイスタの人から送ってきてもらった花」って言われて。「ウソ!」って。だから、やっぱり俺にはハイスタがデカいんだよ。あれがなかったら、ここにいないかもしれないし。あとさ、昔って、コンビニに行くと音楽がかかってたでしょ。コンビニでハイスタが流れた時に、「うわ、ハイスタ売れた」と思ったんだよね。
難波章浩あれは「GROWING UP」ですね。

ヒカルあと、クアトロでやった時。「クアトロでやるんだ、ハイスタ?!」って思った。
難波章浩アルバム『GROWING UP』を、マイクのプロデュースでサンフランシスコでレコーディングして。日本に戻ってきたライヴの一発目がクアトロだったんですよ。 当時の僕らは、クアトロすらソールドしてなくて。でも、それが即完したよって、アメリカで聞いて。凱旋ライヴみたいな感じで、「うわ、俺ら、ちょっと来ちゃったな」みたいな感じになって。あの時、みんな坊主にしちゃったじゃないですか。坊主だからちょっと赤くするかって言って、その時に赤くしたんですよ。クリンクリンの。あの時、ヒカルくんもいたんですね。
ヒカル大体いたよ。あと、ジャンプも高かったね。やっぱりジャンプだよ、パンクバンドは。
難波章浩ヒカルくんはベースを弾いてた時、ジャンプはしてなかったですか? ほら、あのシドのジャンプ。
ヒカル股開きとかポゴダンス、そっちはするよ。でも、まだアメハ(注:アメリカのハードコア)をよく知らない頃だったから。
AIR JAM、Hi-STANDARD
難波章浩ヒカルくんから見て、AIR JAMはどうですか?
ヒカルAIR JAMはなんちゃんがやってるから。それだけでしょ。他は何もない。他のイベントはさ、ほら、お客さん入れないといけないからさ。気を遣ってるイベントばっかりでしょ。だからあんまり魅力はないかも。行こうと思わない。好きなバンドが出ないのに行ってもしょうがないじゃん。
―昔のアメリカのワープド・ツアーとかは楽しんでたよね。
ヒカルあれは面白かったね。ちゃんと好きなバンドが出てたから。だって、ランシド、ディセンデンツとソーシャル・ディストーションが一緒に観れるんだよ。
―今のハイスタはどう思います?
ヒカルいいじゃん! 仲がいいのが気持ち悪いだけで(笑)。あんな客に気を遣ったりとかしてなかったよ。「みんな」とか言わなかったよ。
難波章浩本当だ。
ヒカルそれが美しかったの。コール&レスポンスとかなくて、ドーンと出て終わりみたいな。俺も東京セックスピストルズの時に言われたもん。「ヒカル、MCとか絶対に入れるな」って。それは森山さんに言われて。「失敗したら、機材のせいにして、壊したりとかして、ビール回して帰れ」って言われた。もちろん今はしゃべってもらった方がうれしいと思うけど。
難波章浩それでもね、実は迷ったんですよ。 俺はあまりしゃべってないんですよ。FEVERが初めてだったんです。でも、しゃべんないとみんなが心配するから。「今何なの?」、「どういうこと?」、「ムード大丈夫?」って。で、しゃべることでみんながほぐれていくんですよね。

ヒカルいや、なんちゃんのバンドなんだから、なんちゃんがしたいようにすりゃいいんだよ。しゃべりたかったらしゃべりゃいいんだし。……いつから客に気を遣いだした?(笑)
―スゴいツッコミだね(笑)。
ヒカルでも、あの時しゃべったのは、みんなはうれしかったと思うよ。やっぱり久々に声も聞きたいだろうし、もう大人になってるだろうしさ。
難波章浩でも、あの時のハイスタはあんまりしゃべってないですもんね。バーンってやって、適当に帰ってたな。
ヒカルいろいろ笑わせもしてくれたし。変なメタルをやったりとかもしなかったっけ? 変なフレーズとかも入れてなかった?
難波章浩やってましたね。
ヒカルでも、あれがダメだとか、MCが長いとか、そういうのは関係ないと思う。今のハイスタなんだから。 昔のハイスタはね、昔の映像を観てりゃいいんだから。
難波章浩今の話を聞くとハッとしますね。やっぱりずっと見ててくれんだなって。
第1期WARPの最終号(2006年)とFLJの創刊号(2008年)には二人とも登場
2008年。FLJ創刊号の撮影のアウトテイク
ヒカル本当にうれしいよね。再結成して、またやってくれて。Tシャツも誘ってくれて、うれしかったし。何も変わってないしね。もうちょっと何か、鼻につくようなロックスターになってりゃよかったのに。一緒じゃん(笑)。
難波章浩そういう人います? 変わった人は見てます?
ヒカルあんまり……っていうか、そういうところにいないから。変わらない人のところにばっかりいるから、ここにいるのかもしれないし。でも、俺が好きになって売れたバンドは、ハイスタとランシドぐらいかもしれない。ハイスタはもう本当に刻まれてる。
難波章浩それ、マイクも同じことを言ってくれてたんですよ。
ヒカルだって、マイクは以前、「何で解散するんだろうね」って言ってたよ。
難波章浩マイクはハイスタが日本でビッグになってたのはスゴい誇らしいって、言ってくれてますね。
PIZZA OF DEATHの事務所ができたばかりの時にもらったTシャツを今も愛用
ヒカルあと、本当に進もうとしなくていいと思う。モノを作る人だから、何か新しいことをやらなきゃって思いがちじゃん。俺だってそうだけど。でも、いつの日かそうじゃなくなってくるから、俺も新しいことをやろうとしてないよね。それはカッコ良かったからだし。変わらなくていいからさ。それは過去に作った大切なものだからさ。宝物はもうあるからさ。
難波章浩宝物はありますね。
ヒカル「STAY GOLD」があるんだからさ。その光を錆びさせないようにするのが今なんだから。そう思わない? それを消さないようにしてるのが今なんだよ。「STAY GOLD」であり続けるための活動なんだから。
難波章浩本当、そうですね。ヒカルくんとこんな話をするの、初めてかもしれない。
ヒカルハイスタが来たから、上がっちゃったのかも(笑)。でも、こういうことを言える時が来たってことじゃないのかな。
Photo by HIROSHI KUDO
GOODS
AJ_B×H HIKARU T-shirt ¥4,000円(税込)
ヒカルがデザインを手がけた、AIR JAM 2026 オフィシャルTシャツ
2026年10月9日(金)15:00から販売予定
https://airjam-store.com

難波章浩
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